そっと手をかけただけなのに、震える肩が跳ね上がった。
「 来るな、来るなぁっ … !! 」
しなる腕が 頬をかすめて、私は背中を打ちつけた。
影を落とした彼の瞳は、怯えたような色をして
私ではない、どこか別の場所をみている。
不思議と、怖い、とは思わなかった。
苦しんでいる 彼を、このままにしてはおけない。
振り上げられたまま、固まる腕をそっと支える。
「 スザク 」
ゆっくりと、名前を呼ぶ。
出来るかぎり 柔らかく、手のひらを這わせる。
凍りついた筋肉に、私がいることをわかってもらう。
「 大丈夫 … あなたを苦しめるものは、ここには、いません
… もう、大丈夫です … 」
何度も、何度でも だいじょうぶ、と繰り返す。
いつの間にか震えは止まり、強張る身体が緩んでいる。
もう一度、そっと名前を呼ぶと 緑の瞳がまばたきをした。
「 ユ … フィ … 」
目があったその瞬間、揺らいだ身体が崩れ落ちる。
ようやく戻ってきてくれた彼を、壊さないように抱き締めた。
誰かのすべてを知るなんて、きっとあまりにも 大それた願い。
そんなわがままを、叶えられない と嘆くより、
今は。
だいじょうぶ、あたたかい。
腕の中にある ぬくもりに おかえりなさい、と呟いた。
fin
萌えツボ満載・11話 バンザイ!
( 細部はテキトーなんで、突っ込んじゃイヤですよー; )
2006. Dec. 23 UP
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